「月の桂」の増田徳兵衛商店へ

快晴となった3月の日曜日、月の桂を製造している増田徳兵衛商店さんの酒蔵見学に行ってきました。社長の増田徳兵衛さん自らご案内してくれる贅沢なもの。主催のNPO法人京都味わい物語さん、誠にありがとうございます。 増田徳兵衛商店さんは延宝3年(1675年)創業の造り酒屋。現社長は第14代目の増田徳兵衛さん。代々当主が徳兵衛を名乗るので、お父様が亡くなられて社長に就任したときに、家庭裁判所で名前を改名したそうです。運転免許証からパスポートから、全て改名したのでそれは大変でした、と。 品の良さとインテリジェンスを感じる増田社長のお話に、皆が聞き入っていました。面白かったのは、「蔵人はミカンを食べない」。柑橘類が日本酒酵母を殺してしまうので、日頃から手でミカンの皮をむくようなことはしない。パンも違う種類の酵母なので、基本的に触らない。違う菌のものはできるだけ食べないし、触らないのだそうです。 日本酒の味というのは、水、米、麹、酵母、などの組み合わせで決まる。同じような材料で同じような作り方をすれば、どうしても味は似てくるので、蔵人でも銘柄を区別するのは簡単ではないそうです。 月の桂といえばにごり酒。3月なので生産は終了していたのですが、特別に貯蔵タンクを案内していただきました。吟醸香があたり一面に立ち込めます。なんという幸せな時間なのでしょう。 こちらは古酒の貯蔵庫。50年もの、中には100年ものもあるそうですよ。容器は特注の磁器を使っています。以前は碍子会社に発注していたのですが近年は日本国内では製造者がなくなり、中国の景徳鎮にオーダーしたこともあるとか。容器は陶器ではだめで、磁器でないと中身がどんどん蒸発してなくなってしまうのだそうです。栓の部分も漆でしっかりコーティングして蒸発を防いでいます。気になるお値段は・・・ロマネコンティ以上?! そして10種以上のお酒を試飲させていただきました。超美味しいお酒に豊かな話題。最高の時間を過ごしました。月の桂、バンザイ!